刊行にあたり
本年度も「あさひかわオープンカレッジ」を無事に開催することができたことを喜びたい。本講座は、旭川市と近郊地域に住む人々を対象に、誰もが生涯を通じて学び続ける機会を提供することを目的としている。年齢や環境を問わず、新たな知識や技能を習得し、自己実現を目指す場として根付いたこの取組みは、「生涯学習」の理念を体現するための重要な柱である。
旭川市は、北海道の中核を担う地方都市として豊かな自然と歴史を有するが、同時に人口減少や高齢化、若年層の流出といった課題にも直面している。こうした状況下で、市民一人ひとりが学びを通じて自らを成長させ、地域社会に貢献する力を養うことが不可欠である。本講座が地域の持続可能性を支える人材を育むための基盤として、その役割を果たせるのだとすればこれほどの喜びはない。
本講座にも世代交代の流れは確実に起こっている。若い世代が積極的に講座に参加し、また講師としても活躍する姿が見られつつある。これにより、従来の形式にとらわれない新たな学びの形が生まれ、多様な世代が交流する場としての意義が深まっていると信じる。このような世代を超えた知の継承は、地域社会の発展に向けた希望の芽吹きである。
本報告集が、今後の「あさひかわオープンカレッジ」の発展に寄与するとともに、旭川市の生涯学習がさらに充実する一助となることを願っている。最後に、熱意を持って講義を支えてくださった講師の皆さま、意欲的に参加した受講者の皆さま、そして運営に携わった全ての方々に深く感謝を申し上げる。
旭川ウェルビーイングコンソーシアム
連携公開講座等事業部会 部会長
北海道教育大学 教授 十枝内康隆