刊行にあたり
新型コロナウイルスの流行もすでに2年におよぶ。国内外の芸術、経済活動に大きな影響を及ぼし〈旭川音楽大行進〉や〈北の恵み 食べマルシェ〉も中止となって、旭川の秋もすっかりさみしくなってしまった。このオープンカレッジも昨年の最終回は旭川市内における新型コロナウイルス感染症患者の急増に伴い中止を余儀なくされた。
はたして今年度は講座が開けるものかといささか危ぶみながらの出発ではあったが、ワクチン接種の広がりもあって、なんとか最終回までいちども欠くことなく開講することができた。これも関係者各位、講師を引受けてくださった先生方、参加してくださった受講生の皆様のおかげである。深くお礼申し上げたい。また、今年度は例年になく多くの受講者に参加いただいた。生涯学習活動の一環として、年代や職業を異にするさまざまな人々が集まって学び、議論するというこの貴重な場が今後も継続することを期待してやまない。
北海道教育大学旭川校 教授 十枝内 康隆
1月23日(日)に審査が行われ以下の賞が決まりました。
昨年同様、コロナ禍のためポスター展示のみの審査でしたが、昨年より6課題増の15課題の応募がありました。
また、補足資料としてYoutubeの提出も可能(任意-審査対象外)となり、8課題から提出がありました。
審査員は、ポスターを見学してからYoutubeを視聴したのち審査を行いました。
さまざまなテーマに取り組み、普段の学習・研究成果をまとめ、どれも力作ぞろいでしたが、旭川高専の7課題が、具体的な
地域が抱える課題解決の具体的な提案が多く、起業を想定しているなど注目を集めました。
評価が拮抗したため、本年は3賞のほかに「審査員特別賞」を2課題選考しました。
以下に結果を発表します。
◆旭川ウェルビーイング・コンソーシアム賞
「トマト収穫を支援できる次世代ゴーグルシステム」
所 属: 旭川工業高等専門学校 生産システム工学専攻
氏 名: 上田 一磨,五箇 亮太,山口 尚太,木村 至孝,井上 光貴,川村 勇人
本研究は,トマト収穫を支援できる次世代ゴーグルシステムの実現を目指す.トマト収穫には,収穫可能なトマトを的確に判別できる能力が必要となる.収穫を支援するアルバイトは,判別能力が備わっておらず,収穫してはいけないトマトを収穫する可能性がある.そこで,ゴーグルタイプのデバイスを装着し,そのゴーグルから収穫に必要なトマトの情報を得ることができると,誰でも熟練者と同じようにトマト収穫を行うことができる。
◆上川総合振興局長賞
「ドローンとAIを組み合わせた地域の農業支援システム」
所 属: 旭川工業高等専門学校 生産システム工学専攻
氏 名: 木村 至孝,井上 光貴,上田 一磨,山口 尚太,近江 雄哉
本研究は,ドローンとAIを組み合わせた農地の生育状況の推定および病害虫発生の推定できる農業支援システムの実現を目指す.ドローンに取り付けたサーモカメラやマルチスペクトルカメラから得た情報をAIにより解析することで,農地の生育状況と病害虫発生を推定できる.本システムを用いることで,効率的な農作業を実現することができ,農家さんの負担軽減と収入の増加を実現できる。
◆旭川市長賞
樹で赤くなったトマトは追熟したトマトよりも美味しいを化学的に検証〜トマトの商品価値の向上を目指して~
所 属: 旭川工業高等専門学校 物質化学工学科5年
氏 名: 橘 朋花
通常、トマトは青い状態で収穫され、流通の間で追熟し赤くなる。一般的に追熟トマトより樹で熟した樹熟トマトの方が美味しいとされている。しかしながら旭川で栽培されている品種Rについては、美味しいとされる化学的エビデンスがない。そこで旭川市農業センターの支援を受け、樹熟と追熟トマトの栄養成分を分析した。樹熟トマトが美味しいことを支持する結果となり、トマトの商品価値を高め農家に貢献できるものと考えている。
◆審査員特別賞
旭川市を『考える』教材の開発について
所 属: 北海道教育大学旭川校,社会科教育専攻2年
氏 名: 成田 昴琉
学習指導要領の改訂により,「主体的な学び」「対話的な学び」「深い学び」が求められるようになった。この今日の教育で求められている3点を踏まえた上で,旭川市の特徴,歴史,現在抱えている問題という知識を学ぶと同時に,より良い旭川市にするための方法を考えさせるための教材を開発した。旭川市の地域教育を通して,地元に対する愛着心とともに,これから求められる思考力・発想力,表現力の育成を図るものとなっている。
◆審査員特別賞
廃炉作業向けロボット製作を通した高専学生の成長
所 属: 旭川工業高等専門学校 生産システム工学専攻
氏 名: 山口 尚太,上田 一磨,木村 至孝,大懸 崇一郎,伊勢谷 賢司
本研究は,廃炉作業向けロボットのアイディアと人材育成を行う廃炉創造ロボコンを通した高専学生の成長を目指した研究である.本研究は,2020年大会と2021年大会における取り組みにフォーカスしたものである.2020年大会は,3.2m下にある燃料デブリ回収を行う課題,2021年大会は,2.7m程度上にある高所除染を行う課題となっており,それぞれの大会でタイプが異なるロボットを製作した。
2021年度 旭川ウェルビーイング・コンソーシアム「あさひかわオープンカレッジ」が昨年コロナウィルス感染症により、中止となった「文豪たちの語学力」をもって、7回の講座をコロナ禍にもかかわらず、過去最高の受講者を集め、終了いたしました。
別添の各講座の開催記録を参照願います。
10月 2日(土)「国境を越えて考える疾病対策」 13:00~15:00 講師:旭川医科大学 助教 神田 浩路
10月16日(土)「コロナ問題を哲学する」13:00~15:00 講師:元名寄市立大学教授 白井 暢明
【旭川ウェルビーイング・コンソーシアム教育コーディネーター】
11月 6日(土)「音楽の力~音楽療法入門~」 13:00~15:00 講師:旭川大学短期大学部 教授 五十嵐 路子
11月10日(水)「あさひかわのマチづくり」 15:00~17:00 講師:東海大学 名誉教授 大矢 二郎
【旭川ウェルビーイング・コンソーシアム教育コーディネーター】
11月12日(金)「モノづくり、クルマ作りの変遷;Just In Timeからその次へ、北海道からのモノづくり」
14:00~16:00 講師:旭川工業高等専門学校 准教授 杉本 剛
11月17日(水)「『老い』を考える―自分らしく生きるためにー」 15:00~17:00 講師:旭川大学 教授 栗原 律子
11月30日(火)「文豪たちの語学力」 15:00~17:00 講師:北海道教育大学旭川校 教授 十枝内 康隆
当コンソーシアムは冬季休業のため、令和3年12月29日(水)から令和4年1月3日(月)までの間、通常業務を休止させていただきます。
期間中は、施錠するため、事務室へ立ち入りできませんのでご注意ください。
なお、事前に会議室等を予約申し込みされている方は、管理室で鍵を借りたうえで、ご利用願います。
◎好評裡に終了しました!!
「国境を越えて考える疾病対策」
『アジア最後のフロンティア』と呼ばれるミャンマー。『光り輝く島』という意味を持つスリランカ。両国において長期滞在し、感染症を中心とした調査研究を担った経験をもとに、これらの成果がどの様に私たちの生活につながり、結びついていくのか、これからの国際協力も含めて皆さんと一緒に考えたいと思います。
以上、講義終了後には高校生・大学生の受講者を交えて、質疑応答が行われました。