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2023年度あさひかわオープンカレッジ連携講座報告集の掲載!!


刊行にあたり

旭川市内には5大学1高専の高等教育機関がある。また、人口30万人を超える旭川がいまなお道北における学術・文化の重要な拠点であることは言うまでもない。だが、近年ますます東京一極集中が際立つようになり、それどころが東京以外の地方都市は、人口200万人を超えるような大都市であったとしても、今後徐々に人口が減るであろうという予測がなされている。このような状況下にあって、地方の弱体化は避けられない運命のようにも思われる。

そもそも学術・文化、あるいはこれと密接に関わる教育というものは、利益の追求とは根源的に相容れないものであり、それゆえに国や自治体が十分な予算を配置し、これを振興すべきものであるはずなのだが、いつしかこれが反故にされてしまった。もちろん、金は出しても口は出さないのが当然である。イギリスでは新自由主義的なサッチャリズムにより1980年代の終わりにはすでに公教育が破滅へと向かうルートが示されていたはずなのだが、そこから何も学ぶことのなかった日本は、遅れてきた新自由主義がさまざまなシステムを徹底的に破壊してしまった。あげくの果てが昨今の「稼げる大学」法案こと「国際卓越研究大学」に関する法律であったり、「10兆円大学ファンド」であったりする。

こう見てくると2006年の改正教育基本法は「生涯教育の理念」を掲げこそしたものの、「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する」というなにやらお節介な文言を盛り込み、また義務教育では「規範意識や公共の精神、伝統と文化の尊重、我が国と郷土を愛する態度」を強制した。あげくの果てが「道徳」の教科化である。国家に都合のよい国民を作ろうとする愚民化政策はこうして今も続いている。そしてついに現政権は日本学術会議にまで横槍を入れ始めた。

こんな今だからこそ地方の自発的な文化的営為によって、真の生涯教育や地方における学術・文化の維持、発展を続けて行かなければならない。「あさひかわオープンカレッジ」が地方からのささやかなレジスタンスとなることができれば、これほどの喜びはない。

北海道教育大学教授 十枝内康隆

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